先日、プラド美術館の新館のオープン前一般公開に行った。
PHE07(フォト・エスパーニャ07)の写真展を探してたどり着いたのがここだった。
その日は10月のオープンに向けて建築中のこの新館の公開の最終日でもあった。
各ポイントに学芸員が待機していて人がある程度集まると、その場所や建物についての説明をしてくれる。
写真のこの赤いスペースには彫刻が展示される。
なぜ赤いのかと尋ねたら、白い彫刻が映えるようにということもあるが、この赤の色味はGoyaやVelázquezがよく使っていた赤から来ていて、またこの素材もかなり上質らしい・・・
美術館の常設展示ホールが真っ赤と言うのもかなり奇抜な気がするが、無味乾燥なホールにあってあまり見向きもされなかった彫刻に対する見方が変わるかもしれない。
オープンが楽しみである。
内部の映像がプラド美術館のHPで見れます。
こちら
PHE(PHOTOESPAÑA)は毎年この時期5月~7月に行われる写真展のイベントである。
今年は10周年目。世界各国から新旧のカメラマンの作品がマドリッドの街中で見ることが出来る。
プラドの新館で行われていたのは「Thomas Struth」。
真新しいホールを贅沢に使った展示で写真たちもさぞ満足だったであろう。
写真のテーマは美術館で作品を見る人々である。
美術館に展示された「美術館で作品を見ている人たち」をみている私たち。
一瞬、実は逆なのではないかと言う錯覚に陥る。
私は新しい建物の匂いが好きだ。まだ工事中で埃っぽかったけれど。
この新館のもう一つの見所は、最上階に設置されたサンヘロニモ教会の修道院の回廊だ。
というのは、こういうものだ。⇒
新館は現プラド美術館の裏の部分と、道を挟んであった廃墟化したサンヘロニモ教会の修道院を改装してつなげた新館である。
その廃墟にあった修道院の回廊を修復して設置したのが写真。
今にも崩れそうな回廊部分を掘り出して、マドリッド郊外のアルカラ・デ・エナーレスに運びきれいにし、新館の工事がこの階まで進んだところで、修復した回廊をそっくり以前と同じ場所に設置したのだ。
廃墟にあったこの回廊部分は自力で立つことは難しく、支えるための壁を建て、各アーチ部を窓にしてガラスをはめ完全に建物の内部に納めてある。
なんとも手間をかけたものだ。
ゴチック様式のサン・ヘロニモ教会はカトリック王の命により16世紀に建設され、19世紀の始めの独立戦争のときに廃墟と化した。後、女王イサベルⅡにより再建され王家の宗教儀式、アルフォンソ13世の結婚、1975年には現在の王フアン・カルロス1世の王位継承式などが行われた。19世紀には2度の修復が行われている。
私は5年位前にここを訪れた。傾いて今にも崩れ落ちそうだったのが印象的だった。
教会自体も周辺も、その面影はほぼ消えかけている。
教会と回廊の昔の姿はこちら
かくして、400年の歴史を見てきた古ぼけた教会は今化粧直しをして生まれ変わろうとしている。
美術館の新館を楽しみにながらも、たかが5年で昔の面影が消えていく様を見るのはなんとも複雑である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ご観覧の記念にワンクリック!感謝します。
- 2007/07/10(火) 18:51:34|
- monólogo|
-
トラックバック: |
-
コメント:4